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背中【戦国BASARA2:長政×お市SS】

※長政ED後の浅井夫婦の捏造日常です。(ネタばれ注意でございます)

「お市」ストーリー→「長政」ストーリーの結末を見たあと、OPをCDでフルで聴きまくったら、書きたくなりまして・・・気がついたら書いておりました。

浅井夫婦の幸せを心から願います。







「待ってろ、もう少しで終わる。」

「・・・はい。」



『正義を語られる前に、たまりにたまった己の御勤めを果たされよ』と忠臣に散々小言を言われて、仕方なく机に向かう浅井家の当主長政はそう言い残して、すっかりと乾いてしまった硯に置かれた筆を手に取る。



仕事をわざとためたわけではないのだけれども。



机の上に載せられた書簡が普段よりも幾分多めだと思えるのは彼が、長い激闘の末取り返した新妻と新婚旅行に出かけていたせいだろう。



嫁いだときはすでに戦は始まっていて、「新婚」生活というものを味あわせてやれていなかったことが不憫でならなかった長政の、お市に対してのささやかな思いやりだったのだが・・・そのツケがいまになってやってきたわけだ。



「・・・っく、正義のためだ・・・甘んじて試練を受け入れよう」



そうは言ったものの、長政が旅先の温泉街で傷を癒しつつ、お市と2人きりの甘い時間に浸っていたのも事実だ。



それゆえ仕事が溜まり、ようやくお市がなんの気兼ねもなく屋敷に足を踏み入れた来たと言うのに・・・満足にかまってもやれていない。



「市。貴様がここにおっても・・・仕事が減るわけではない。終わったら起こしてやるから、さっさと眠ってしまえ。」



待たせてしまってすまないな、と思いつつ口から出るのは、ぶっきらぼうな言葉だけ。

(「せめて・・・疲れているのだから、休んでくれ」くらいのことは言えんのか。私は)

相変わらずな己の性分に、長政が心の中で愛相を尽かしかけていたときだった。



「・・・市。大丈夫・・・長政さまがお仕事しているとこ・・・見ていたいから。」



「・・・つまらんだけだぞ。」



「・・・うん。いいの・・・」



長政のつっけんどんな物言いに怒る風もなく、お市はそんな可愛いことをいい、机に向かう長政の後ろに控える。



何をするわけでもない、ただじっと彼の動作を見ながら微笑んでいた。



「・・・あの」



そうして仕事をする長政に、お市は少し俯いたまま問いかける。



なんだろうと筆を持ったまま長政が振り返ると、淡い朱色に頬を染めたお市のためらいがちな瞳と視線がかち合う。



「・・・なんだ?」



「あの・・・長政さまの・・・お背中、借りてもいい?」



一緒にいるのだから、せめて少しくらいは触れていたいのだとお市は笑う。



たどたどしい口調で照れながらも心くすぐるような申し出に、長政もわずかにその鋭い目線を和らげた。



「っふん・・・勝手にしろ」



「ありがとう・・・長政さま。」



そうしてそっと触れてくる背中のぬくもりと心地よい重みが幸せを感じさせる。



自然と筆を進めるのも気合が入り、長政は驚くほど仕事をこなしていた。



「・・・市?」



気がついたときに、耳に聞こえてくるのは穏やかな吐息のみで。



長政は、彼女を起こさないようにそっと背後を覗き見る。



案の定、己の背中に背を預け、お市は小さな頭をかくんと俯かせて、夢の世界の住人になっていた。



女の身でありながら、「魔王の妹」というだけで戦うことを余儀なくされ、ずっと気が休まることのない戦場を駆け抜けてきたのだ。



・・・身も心も疲れきっていたに違いない。



そして、やっと手に入れた平穏に浸り・・・眠ってしまったのだろう。



己の背中に無防備に身を任せ安心したように眠る姿を見て、不思議と笑みがこぼれる。



「・・・よい夢を。」



お市を起こさないようにと、長政は静かに姿勢を戻す。



背にかかる重みに今までに感じたことのない幸せを覚えて、ただただ嬉しそうに笑っていた。




~あなたの背中から伝わるぬくもりは、こんなにも私の心を穏やかにしてくれる~





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愛しい姫は、己の腕の中で眠ってしまった。



柔らかい毛布にくるまれて、最初は、世間話をしていた。

他愛無い話をしていた。

・・・が。

日頃の重労働で疲労がたまっていたせいだろうか。

しばらくすると、睡魔が彼女を逃れ難い眠りの森へと誘い出した。

うつらうつらするたびに、はっとしたように眼を見開き・・・

頑張って起きようとしている姿は可愛かったけれど、無理をさせたくはなかったから眠る様に促した。

一定の間隔で刻まれる寝息は、心地好くて。

頬にかかる彼女の寝息は、心地好くて。

起こさないように気をつけながら、触れた白銀の髪はさながら絹糸のようで。

月明かりに照らされた白い肌は、透き通り、穢すことなどできぬほど神聖なものに見えた。

この腕の中に彼女が居る事を、まるで夢の様に感じる。



「……ッ…」



ふと、フェアの眉がひそめられて、細い指が彼女を抱きしめるセイロンの腕を強く掴んだ。



「…ん……」



悪夢でも見ているのか。

覗き込んだ寝顔は、苦しそうで、辛そうで。

どうしたら良いか解らなくて、取り敢えず手を握った。

強く、強く握られる手が切なくて。

頬をそっと撫でた。

それから、額に掛かる髪を除け、小さな頭をそっとそっと、何度も何度も撫でた。



「…ぁ……セ・・・イロ・・・ン…?」

「店主殿…起きたかね?」

「私…」

「大丈夫だ・・・」

「…あ…えっと・・・」

「我は、ここに居る。」

「・・・本当?」

「無論・・・だから安心して眠るがいい。」

「……ぅん…」



腕を掴む指に己の指を絡めて。

軽く触れるだけお口づけを落とすと、フェアは安心した様に微笑って、セイロンの胸に顔を埋め、小さく丸くなった。



誰にも癒すことのできぬ傷を覆い隠すように・・・研ぎ澄まされすぎた魂。

この腕の中で眠るときだけは、安らぎを与えたい。

いつだって彼女の傍に、居るのは、我だから。



そなたが眠りに堕ちるその時は、我が荊となって・・・そなたを悪夢から守るから。

どうか安心して眠ってくれ。

我が愛しの眠り姫。


興奮を冷ますために、裏語りにどうしようもないメモっぽい裏学パロ放置してまいりました。



(いろいろと絵的に突っ込み所は多いと思われます。)



しかし・・・菊池さんの一人称が定まりません。

【僕】?【私】?それとも【我】?

はたしてどれが一番しっくりくるんでしょう?ううむ。
無駄のない美しい日本語で、瞼の裏に情景が浮かび上がり・・・何度読んでも心が震える・・・そんなSSを書きたいといつも思っています。

口で言うのは簡単。

でも・・・空にとってこれは、きっと一生の課題。

他人様のハイレベルな御話を読ませていただいたときにこんな思いを抱くのです。



今しがた、某素敵ロンフェアサイトさま巡りをさせていただいてきたのですが。

まさに上記のような気持が、ぶわっと湧き上がってまいりました。

パラレル設定の予告であるにも関わらず、その情景がビシバシ脳の中に飛び込んでくるんです・・・で、どんどん引き込まれる・・・と。

その引き込まれる瞬間の感覚がなんとも心地よいんです(なんというか・・・その独特な文章が醸し出す雰囲気(香り)に酔う・・・とでもいうのでしょうか?あの感覚・・・たまりません(恍惚))。

そして、何度でも読みたくなるんですよ。本当に上手い文章を書く人のお話というのは。

(空はそう思ってます)

そういう読後に甘く酔いしれることができる素敵なお話や漫画をかける御方、同人誌をつくっておられる御方を空は心から尊敬しています。
某素敵学パロ板で描かれていたT母さまの絵を拝見したら、即影響されまくってかきなぐってきました。

そんな空の頭の中を象徴するような落書きは、某「裏語り」にございます。

(←本当に、幸せなくらい阿呆な頭の中身じゃのー。空ってやつは)



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