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きみは僕としあわせなあくびをしますか?【3】

きみは僕としあわせなあくびをしますか?【3】





「・・・ぁ・・・」

 言葉尻ももうおぼつかない。

 セイロンの手をはらいのけようとあげた腕も、途中で力をなくして、シーツへぱたりと落ちてしまった。


「なに・・・、これ・・・っ」

 たかがキスひとつ。

 それで、こんなになるなんて、どうかしてる。


 なんとか体を起こそうとしても、思いどおりにはならないのだ。

 ただ、シャツを脱がせていくセイロンの指先の動きを、じっと見ることしかできない。


「ちょ・・・やだ・・・っ、自分で・・・脱ぐ・・・ってば・・・」

「口づけ1つで息があがっているくせに、なにを言う」

「そ・・・そんなこと・・・っ!・・・」

 ボタン3つ分の肌。

 そこにセイロンが顔を埋めてくる。


 とらえられた、胸の朱色。

 舌先でで突かれただけなのに、フェアの喉からは悲鳴があがってしまった。


「ん・・・ぃやぁぁっ・・・」

 朱色の中心部をわざと外して、悪戯な舌がフェアの肌を這いずりまわる。

 それでも反応して・・・尖ってくるその部分に、セイロンは軽く爪をたてた。

「――…ッ…!」

 声にならない、甘い叫び。

 唇を噛みしめても、吐息がこぼれてしまう。


「ふ…っ」

 どうしよう。どうしよう・・・どうしよう。

 求めていたはずの行為をしてもらっているはずなのに・・・怖い。

 今頃になって、後悔している。


 初めての行為だということは、セイロンには言ってない。

 肌をさらし、自分の弱点さえ相手の好きにさせるようなまねを、今まで生きてくるなかで、できたはずがない。

 ましてや、肌を重ねたいなどと、思う相手もいなかった。

 それなのに・・・今、こうして、セイロンの目の前に、自分をさらけだしている。

 ・・・怖い。

 体を開かれること、それがこんなに怖いなんて、知らなかった。

「・・・・・・フェア・・・」

「う・・・ぅ・・・っ」

 泣いていた。

 さっきまで、セイロンからの口づけで酔わされていた体の熱が、一気に冷めていくのが判る。

「セイロン・・・っ」

「・・・大丈夫だ・・・心配ない・・・」

 頬を包んでくれる手。

 それに自分の手を重ねて、あらためて自分の体のふるえを実感する。


「ごめん・・・嫌なんじゃ・・・ないのっ」

「うむ・・・」

「・・・私・・・あなたのこと・・・好き・・・だから・・・っ・・・!」


「・・・判っているよ」

「セイロン・・・っ」

 先ほどの激しいものとはうってかわったような優しいくちづけに励まされるように。

 フェアは、恐怖と闘いながら、愛しい人の首に腕をまわした。
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