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以下は、ずっと、空が「自分が納得できるように決着つけたい」と思っていた「籠の鳥ロンフェア」の結末的SSとなります。

まだ「前編」しか載せていないのですが・・・なんだか、すごく暗い若さまの過去と、いじいじうじうじな女々しい若さまがてんこ盛りな内容です。

読む御方にとっては、「甘過ぎてムカツク」「何このご都合主義!?」「納得いかない!!」とご不満たらたらな出来になっているかと思われます。

受け止め方っていうのは、人それぞれですし・・・その気持ちを否定することなど空にはできません。

ただ・・・これがレンコン並の頭で考えた空なりの「籠の鳥」の顛末記になります。



今まで暗い話も書いてきましたが・・・どんなに苦しい思いをしてきても・・・最後の最後には、大好きな人たちには「笑顔」になってほしいんです。

相手が二次元でも三次元でも・・・ね。

だって・・・彼らは、空がどん底まで追い詰められていたときに「生きる気力」を与えてくれたもの。

「生きたい」って思わせてくれたもの。

(非オタクな御方が見れば「精神的にヤバイヨ、この人」って思う内容だなー。)

その人たちに・・・苦しいだけの結末なんて送ってほしくない。

せめて・・・自分が書いたお話ならば・・・ハッピーエンドで終わらせたい。

それが「なんちゃって物書き」な空の立派でもなんでもないただの・・・けじめです。

「甘ちゃんが」とか「非現実的っぽい」とか「利己主義者」とか云われてもいい。

それが、空の「二次創作」をする原動力になっていることには変わりはないのだから。



・・・と。

妙に堅苦しい前置きはこの辺で。



以下、微妙に続いてるんだか続いてないんだかな内容の(それは、ひとえに空の力量不足のせいです。ごめんなさい)「籠の鳥」SSとなります。



※このお話の中では、「捏造イスルギさま」(在りし日の・・・シリーズ(←シリーズ化してたの!?)は、存在していません。イスルギさまという神的存在はいても、若さまと一緒に遊び転げる人ではないです多分。









偶然出逢った者同士の思いが折り重なって姿を成す・・・「糸」のような存在。

もろく儚いようでいて、永き時をへても変わらずに・・・ずっと紡がれていくもの。

爆発的な怒り、憎しみはそれには到底力及ばない。

その名は・・・。





龍の青年は少女に対する想いを理解した。

半妖精の少女は青年に対する想いを理解する。



これは、「昔昔・・・」で始まる物語のほんの一部。



孤独に蝕まれ心を凍てつかせてしまった龍とちっぽけな半妖精が織りなす物語。









彼女に出会うまで、青年の世界は闇に包まれていた。



変わらぬ日常、変わらぬ景色を黙々と過ごすだけの毎日。



闇の中でなんの感情も持たぬまま自分は朽ち果てていくのだと思っていた。



けれど。



彼女は鮮烈な印象で、青年の心の中に飛び込んできた。



その光に満ちあふれた笑顔が、何もかも諦め、傍観者として生きると決めていた彼の深い闇の中に沈んだ心に一筋の光を落とした。



陽だまりのように優しい笑顔。



それを世界から盗み、誰にも見せないように閉じ込めたのは自分。



当然、自分に向けられることのなくなった光を前にして、再び闇に沈む絶望が心に恐怖すら与えた。





彼女・・・フェアを失いたくなかった



己の心に醜く住み着いていたモノの意味を彼はもうわかっていた。



少女の側にいる者、側にある物すべてが気に入らなかった。



何故?



師に諭されてそれが・・・『嫉妬』であったことに気がつく。



そしてやっと、青年は少女に対する想いを自覚した。



『初恋』の熱は彼を翻弄する。



彼からすべての自信を奪いさり、そして彼をひどく臆病にした。






「フェアっ」



縋り付くように抱き締めた華奢な体は、もう・・・昔のように彼を拒まない。



「フェアっ、フェア・・・っ」



秘境の地「龍人の里」の中でも・・・青年しか知らない庭園で。



薄紅色の花が見事に咲いた樹木の下で青年は、ただ・・・何度も彼女の名を呼ぶ。



背に回される小さな手のあたたかい感触。



宥めるように落ち着かせるように、背中を撫でている。



「・・・声を殺しちゃ駄目だよ・・・セイロン」



もうひとつ小さな手がセイロンの頬にそっと触れて、濡れた目元を拭う。



「泣く時はね・・・ちゃんと泣いたほうがいいの。声をあげてね・・・じゃないともっと辛くなるよ」



ハラハラと目から何かが零れていたことを彼女の言葉で気がついた。



はじめはその水滴が何か・・・セイロンには理解できなかった。



物心ついてから泣いたことなどなかった。



己の頬に指を這わせる。



濡れた水が指の腹を濡らした。



涙の水滴を見た瞬間・・・さらに涙が溢れ出てくるのを感じた。



「あの時・・・私がそうしたように・・・泣きたいなら・・・泣いてもいいんだよ・・・?」



私がね・・・どうしてあの部屋であなたを怖がってたか知ってる?



酷いことをされるからじゃない。



恥ずかしいことを強制されるからじゃない・・・。



ずっと・・・あなたの気持ちがわからなくって・・・それがね・・・それだけが怖かったの。



だから・・・ね・・・お願い・・・あなたの本当の気持ちを教えて・・・。



怒りも憎悪も愛しさもすべてを超越した笑顔で、フェアがそっと・・・呟く。



---悔しいけれど・・・どんなことをされても・・・あなたを嫌いになんかなれないよ。



「------っ!!!」



赦しにも似た囁きを前に、決壊が崩壊する。



セイロンは物心ついて初めて、恥も外聞もなく、声を出して泣いた。











「我を嫌わないでくれ」



我を嫌わないで。



どうか・・・拒まないで。



気が遠くなるほどの大昔・・・。



幼かった頃、よく広い部屋の隅で1人で泣くのを我慢していた。



泣けば奴らに見つかってもっと、苛められる。



そして泣いたところで、どうしようもないことも。



助けを求めたところで、救い等ないことは骨身に染みていた。





どうしてみんな我を嫌うの?



家族の中で好意的に自分に接する者などほとんどいなかった。



まるでいないもののように扱うか、敵意をぶつけてくるかのどちらか。



声もかけてくれず、政に逃げる父母。



義兄や義母は、目を合わせれば必ず「お前なんか生まれてこなければ良かった」「誰がお前のような

奴を好きになってくれるものか」「お前は愛する者を皆、不幸にするよ。」と予言めいた呪詛の言葉を口にした。



少なくとも6回に1回の割合で・・・食事に毒が盛られているのが日常で・・・血の気を失った毒味係が運ばれて行く姿を目にするたびに・・・そう罵られる自分に納得している自分がどこかにいた。



広い屋敷の中で常に彼は1人ぼっちだった。



立派な屋敷で隙間風など入らぬ部屋だというのに・・・いつも寒さと闘っていた。



「我を・・・好きになってくれ」



小さな体をぎゅっと抱き締める。



少しでも力を入れれば折れてしまいそうな少女は、何も云わずにただ彼の広い背中をなで続ける。



それだけで・・・言葉以上の「答え」が伝わってくるようで・・・さらに青年の涙腺を潤ませた。





このまま、ずっと1人のまま?



そんなの嫌だ。

誰か側に来てよ。

寒いよ・・・。

誰が我を好きになって。

・・・愛することをどうか、赦して・・・。





そう願うことをいつの間にか忘れていた。



願うことを望むことを諦めたのだ。



何を言われても、飄々としていればいい。



来るものも拒まず、去る者も追わず・・・



望まなければ心は傷つくことはない。



苦しむのはもう沢山だから・・・セイロンはすべてを諦めることを覚えた。



もう・・・信じて裏切られることには耐えきれなかったから。



そうやって生きていこうと決めていたのだ。



目の前の少女に出逢うまでは。











「フェア・・・っ!!」



何度目かわからない・・・血を吐くような叫び。



「ここに・・・いるよ。セイロン・・・傍にいる・・・」



涙に濡れた顔が小さく微笑む。



「あの日」を境にして、もう二度と自分には向けられることはないと思っていた優しく温かい微笑み。



「嫌わないでくれ。頼む・・・頼むっ・・・」



どれほど・・・。



どれほど自分が、ふざけたことを口にしているかは・・・十分わかっていた。



生まれて初めて湧き上がった「感情」が爆発したあの日、そのドス黒いモノに支配されたまま

理由も告げず、異世界から彼女を連れ去って。



己以外の全てのモノから遮断されたこの座敷牢に幽閉し・・・嫌がる彼女を無理やり犯した。



媚香を嗅がせて、自慰をさせることなど生ぬるい。



時には鏡の前で自分に抱かれる姿を見ることを強いて・・・、時には戯れに買い込んできた玩具で泣き叫ぶ彼女の体を・・・理性が切れるまで弄んだ。



彼女の体に・・・心に・・・一生消えない傷を残したのは、他ならぬ己なのだ。



あんな酷い仕打ちをしておきながら、虫のいいことばかり言っている。



しかし・・・。



言わずにはいられなかった。



彼女を・・・どんなに己と同じ奈落の底に堕とそうとしても、決して敵わないほど強くやわらかな心をもつ少女を失いたくなかった。



己の子を身ごもってくれた・・・望んでいた「家族」をその身に宿してくれた唯一の希望を。



このまま諦めることもできない。



「頼む・・・・・・我を好きになってくれ」



他になにも望まないから。



そなた以外なにもいらないから。




・・・ずっと云えなかった言葉。



心に浮かんでも・・・呪縛がそれを否定して打ち消してしまったたった一言の言葉。



2人しかいない静寂に満ちた世界で・・・彼の怯えを隠せない声が・・・ひっそりと・・・しかし、確実にフェアの耳に届くように紡がれた。





もうちょっとだけ、続きます。





ちなみにこのお話、中島みゆきさんの名曲「糸」とSUARAの「キミガタメ」を聴きながら書きました。

やっぱり何度聴いてもいい歌じゃよー。(年よりくさい・・・)

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