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【sugar soul】
最近すれ違ってばかりで恋人と会えていない。
ため息をつくと1つ幸せが逃げて行くよって云われているけれど。
もうかれこれ2週間ちかく、恋人とまともに話をしていないと・・・「元気」が取り柄の彼女だって、ため息をつきたくなるのは無理もないという話。
「はあ・・・」
フェアが似合わぬため息をつくと、店の主人らしい初老の男性が笑顔でやってきて、淹れたてのコーヒーが入ったカップをテーブルに置いた。
ふ・・・と鼻孔に広がる少し酸味のきいた香り。
真っ白なカップに映える琥珀色の飲み物にミルクを垂らすと、螺旋を描きながら白が広がっていく。
小脇に置かれたガラスの瓶に入っている角砂糖を1つつまみ、放り投げて。
受け皿の上に置かれた銀色のスプーンでクルクルもかき混ぜる。
徐々に変化するコーヒーの色に、にこにこと微笑みながらふぅっと冷ますように息を吹きかけた後、ゆっくりと口付けた。
じわじわと口内に広がっていくほんのりした甘さとちょっぴり舌先に残る苦さ。
唇から伝わる熱は、じわじわとおなかの中まで満たし・・・沈みがちな心の中までほんの少し暖かくしてくれる。
これだからコーヒーはやめられないとフェアは心の中で呟いた。
「美味し…。」
でも・・・どうせなら先生と来たかったなぁ。
学校の購買で買う缶コーヒーとはまるで違ういい香り。
しつこすぎない砂糖の甘さ。
きっと先生好みだな、と微笑んだのと同時に・・・柄にもなく寂しくなった。
ゴソゴソと鞄の中に手を入れて、携帯を取り出すとカメラ機能を呼び出すためのボタンをひと押しする。
そして色とりどりの角砂糖がいっぱい入った瓶を撮った。
それをメールに添付して、文章を打ち始める。
宛先はもちろん・・・きっと今頃職員会議やら、進路の最終調整とかに精を出している「彼」。
件名:先生へ。
本文:美味しいコーヒーを淹れてくれる素敵な喫茶店を発見しました(^o^)今度一緒に行きませんか?息抜き代わりに。
P.S→今夜、家に行っても大丈夫?
ピッ。
送信ボタンを押すと、「メール転送中」の画面が数秒続いた後、ようやくまぬけな表情がどこか可愛いパンダの画像と共に『送信完了』画面が現れた。
「よしっと・・・。」
パタンと携帯を閉めてテーブルに置くと、またコーヒーに口付けた。
──なんだか、コーヒーって先生に似ている気がする。
見た目どおりそのままだと苦くて、腹黒くて。
けれど何故か気になって・・・いつのまにか癖になる。
ミルクや砂糖を入れると、ほんの少しだけ優しい色と味わいに変わってくれる。
そんな不思議な琥珀色をした飲み物が愛しい恋人に似ている気がした。
「だとしたら私は・・・何だろう?」
そんな小さなフェアの呟きが、片意地をはらない安らいだ雰囲気の喫茶店の中に響いて消えていった。
恋人から返ってきた返信メールの内容に笑みをこぼしながら、時間は穏やかにゆっくりと過ぎていく。
送信者:セイロン
件名:我は美味い珈琲を所望する。
本文:善いな。来週一緒に行こう。だが、我が今一番飲みたいのは、そなたが淹れた珈琲だよ、委員長。
・・・先に部屋で待っていたまえ。・・・この間渡した合鍵で。
しかし何故、珈琲ではなく角砂糖の写真を添付してきたのだ?我にはそれが一番の謎(笑)
珈琲に例えられるのが貴方なら・・・願わくば、私は「角砂糖」になりたいのです。
設定は違えど、以前「ロンフェア祭」で書いた「カフェオレ」の姉妹的お話みたいなノリで書きました。
「あなたは紅茶派?珈琲派?」と聞かれると、「珈琲派~」と答える結構珈琲好きな空でございます。
あの鼻孔から肺に至ると痺れそうになるほどのいい匂いがたまりません。(どんなだよ)
缶コーヒーも近頃じゃ味も選べるし、缶に描かれている絵柄も楽しくって好きです。
一番のお気に入りは、アロマブラックなんよー。(匂いが好きで)
こんな空ではありますが、昔は、お砂糖&ミルクをどばどば入れないと飲めなかったんですねぇ。
(「苦っ・・・これ飲み物じゃないよぉぉー」なんて言ってた可愛い時期もあったんだけどなぁ・・・今じゃすっかり、その面影もなし!!)
ところで・・・はたして若先生は、「メール」打てるのでしょうか?
それ以前に、「携帯」とか持っているのでしょうか・・・?(いやまさか・・・今の時代に・・・;;)
最近すれ違ってばかりで恋人と会えていない。
ため息をつくと1つ幸せが逃げて行くよって云われているけれど。
もうかれこれ2週間ちかく、恋人とまともに話をしていないと・・・「元気」が取り柄の彼女だって、ため息をつきたくなるのは無理もないという話。
「はあ・・・」
フェアが似合わぬため息をつくと、店の主人らしい初老の男性が笑顔でやってきて、淹れたてのコーヒーが入ったカップをテーブルに置いた。
ふ・・・と鼻孔に広がる少し酸味のきいた香り。
真っ白なカップに映える琥珀色の飲み物にミルクを垂らすと、螺旋を描きながら白が広がっていく。
小脇に置かれたガラスの瓶に入っている角砂糖を1つつまみ、放り投げて。
受け皿の上に置かれた銀色のスプーンでクルクルもかき混ぜる。
徐々に変化するコーヒーの色に、にこにこと微笑みながらふぅっと冷ますように息を吹きかけた後、ゆっくりと口付けた。
じわじわと口内に広がっていくほんのりした甘さとちょっぴり舌先に残る苦さ。
唇から伝わる熱は、じわじわとおなかの中まで満たし・・・沈みがちな心の中までほんの少し暖かくしてくれる。
これだからコーヒーはやめられないとフェアは心の中で呟いた。
「美味し…。」
でも・・・どうせなら先生と来たかったなぁ。
学校の購買で買う缶コーヒーとはまるで違ういい香り。
しつこすぎない砂糖の甘さ。
きっと先生好みだな、と微笑んだのと同時に・・・柄にもなく寂しくなった。
ゴソゴソと鞄の中に手を入れて、携帯を取り出すとカメラ機能を呼び出すためのボタンをひと押しする。
そして色とりどりの角砂糖がいっぱい入った瓶を撮った。
それをメールに添付して、文章を打ち始める。
宛先はもちろん・・・きっと今頃職員会議やら、進路の最終調整とかに精を出している「彼」。
件名:先生へ。
本文:美味しいコーヒーを淹れてくれる素敵な喫茶店を発見しました(^o^)今度一緒に行きませんか?息抜き代わりに。
P.S→今夜、家に行っても大丈夫?
ピッ。
送信ボタンを押すと、「メール転送中」の画面が数秒続いた後、ようやくまぬけな表情がどこか可愛いパンダの画像と共に『送信完了』画面が現れた。
「よしっと・・・。」
パタンと携帯を閉めてテーブルに置くと、またコーヒーに口付けた。
──なんだか、コーヒーって先生に似ている気がする。
見た目どおりそのままだと苦くて、腹黒くて。
けれど何故か気になって・・・いつのまにか癖になる。
ミルクや砂糖を入れると、ほんの少しだけ優しい色と味わいに変わってくれる。
そんな不思議な琥珀色をした飲み物が愛しい恋人に似ている気がした。
「だとしたら私は・・・何だろう?」
そんな小さなフェアの呟きが、片意地をはらない安らいだ雰囲気の喫茶店の中に響いて消えていった。
恋人から返ってきた返信メールの内容に笑みをこぼしながら、時間は穏やかにゆっくりと過ぎていく。
送信者:セイロン
件名:我は美味い珈琲を所望する。
本文:善いな。来週一緒に行こう。だが、我が今一番飲みたいのは、そなたが淹れた珈琲だよ、委員長。
・・・先に部屋で待っていたまえ。・・・この間渡した合鍵で。
しかし何故、珈琲ではなく角砂糖の写真を添付してきたのだ?我にはそれが一番の謎(笑)
珈琲に例えられるのが貴方なら・・・願わくば、私は「角砂糖」になりたいのです。
設定は違えど、以前「ロンフェア祭」で書いた「カフェオレ」の姉妹的お話みたいなノリで書きました。
「あなたは紅茶派?珈琲派?」と聞かれると、「珈琲派~」と答える結構珈琲好きな空でございます。
あの鼻孔から肺に至ると痺れそうになるほどのいい匂いがたまりません。(どんなだよ)
缶コーヒーも近頃じゃ味も選べるし、缶に描かれている絵柄も楽しくって好きです。
一番のお気に入りは、アロマブラックなんよー。(匂いが好きで)
こんな空ではありますが、昔は、お砂糖&ミルクをどばどば入れないと飲めなかったんですねぇ。
(「苦っ・・・これ飲み物じゃないよぉぉー」なんて言ってた可愛い時期もあったんだけどなぁ・・・今じゃすっかり、その面影もなし!!)
ところで・・・はたして若先生は、「メール」打てるのでしょうか?
それ以前に、「携帯」とか持っているのでしょうか・・・?(いやまさか・・・今の時代に・・・;;)
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【あなたの物にはなれない】
始めは見てるだけで良い。
その内見てるだけじゃ満足出来なくて、話してみたくなる。
話していたら触れたくなる。
触れたら手に入れたくなる。
手に入れたら独占したくなる。
「はぁ・・・」
盛大な溜息をついてしまい、横にいたフェアが心配そうに此方を覗き込んだ。
「大丈夫?」
「ん、む・・・少し酔ったようだ」
「あらら、珍しい・・・ひょっとして、気分も悪い?」
「すまん・・・少し風に当たって来るよ」
親族だけで開いた小さな宴の席。
己の隣で誰彼構わず極上の笑顔を振り撒くフェアに、それこそ気分を悪くしていた。
「ふぅ…」
今夜になって数え切れない程ついた溜息。
「セイロン」
柔らかな声に呼ばれて振り返る。
「具合どう?」
「ああ。・・・大分良くなったな」
そなたが我を心配してわざわざ抜けて来てくれたから。
「・・・余り他の者に笑いかけないでくれ」
「え?」
「その・・・心配と言うか・・・不安と言うか・・・」
「もしかして、嫉妬?」
フェアは悪戯っぽく笑った。
「そなたには…我だけの物でいて欲しいのだ…」
「やだよ」
「!?」
「私は、物じゃないもの。・・・自由にものを考えて、自分で決めることができるニンゲンだもの」
「フェア・・・すまん。」
「でもね、心を預けることはできるわ。私の意思で・・・」
「・・・っ」
「・・・これは我儘なのかもしれないけれど、譲れない私の願いだよ。どうか・・・自由でいさせて・・・何度だって、恋をさせて?・・・あなたに」
・・・嗚呼・・・すまない。
そうだ・・・幸せすぎて、忘れていたよ。
何者にも縛られない果てしなく広がる空のような君の自由さに憧れ、恋に気づいたことを。
そうやって・・・昔と少しも違わずにいつでも、我の予想を超えた嬉しい言葉をくれる君への愛しさに臨界点はない。
際限無く、愛してやまない・・・愛しい人。
照れたように笑い、腕に擦り寄って来た彼女を強く抱き締める。
「愛してる」
愛の言葉の後に深く口付けた。
それは誰にも見えない・・・我だけの所有印。
あとがきっぽいもの
突発的に夫婦なロンフェアを書いたのは、今までスカパー!で高橋留美子劇場♯4【鉢の中】を見ていて・・・「こ、怖いぃぃぃ!!嫁姑問題ィィ・・・夫婦って難しい」という思いでいっぱいになったから。出来はどうあれ「ちょっとでも幸せ気分に浸れるSSSを書かないと、夢見が悪くなりそう」と思って書きました。
高橋留美子さんとくれば「うる星やつら」とか「らんま1/2」などが有名ですが、空的に一番好きなのは「人魚シリーズ(「喰らえば不老不死の体を得る。だが・・・その肉が体にあわねば、即死もしくは化け物になり果てる」と伝承される人魚の肉を食い、生き延びてしまった人たちの悲哀の物語です)」なんです。つまりは、・・・・暗くてグロくて少し狂気をはらんでいて・・・でも人間臭い話が好きなんです。
始めは見てるだけで良い。
その内見てるだけじゃ満足出来なくて、話してみたくなる。
話していたら触れたくなる。
触れたら手に入れたくなる。
手に入れたら独占したくなる。
「はぁ・・・」
盛大な溜息をついてしまい、横にいたフェアが心配そうに此方を覗き込んだ。
「大丈夫?」
「ん、む・・・少し酔ったようだ」
「あらら、珍しい・・・ひょっとして、気分も悪い?」
「すまん・・・少し風に当たって来るよ」
親族だけで開いた小さな宴の席。
己の隣で誰彼構わず極上の笑顔を振り撒くフェアに、それこそ気分を悪くしていた。
「ふぅ…」
今夜になって数え切れない程ついた溜息。
「セイロン」
柔らかな声に呼ばれて振り返る。
「具合どう?」
「ああ。・・・大分良くなったな」
そなたが我を心配してわざわざ抜けて来てくれたから。
「・・・余り他の者に笑いかけないでくれ」
「え?」
「その・・・心配と言うか・・・不安と言うか・・・」
「もしかして、嫉妬?」
フェアは悪戯っぽく笑った。
「そなたには…我だけの物でいて欲しいのだ…」
「やだよ」
「!?」
「私は、物じゃないもの。・・・自由にものを考えて、自分で決めることができるニンゲンだもの」
「フェア・・・すまん。」
「でもね、心を預けることはできるわ。私の意思で・・・」
「・・・っ」
「・・・これは我儘なのかもしれないけれど、譲れない私の願いだよ。どうか・・・自由でいさせて・・・何度だって、恋をさせて?・・・あなたに」
・・・嗚呼・・・すまない。
そうだ・・・幸せすぎて、忘れていたよ。
何者にも縛られない果てしなく広がる空のような君の自由さに憧れ、恋に気づいたことを。
そうやって・・・昔と少しも違わずにいつでも、我の予想を超えた嬉しい言葉をくれる君への愛しさに臨界点はない。
際限無く、愛してやまない・・・愛しい人。
照れたように笑い、腕に擦り寄って来た彼女を強く抱き締める。
「愛してる」
愛の言葉の後に深く口付けた。
それは誰にも見えない・・・我だけの所有印。
あとがきっぽいもの
突発的に夫婦なロンフェアを書いたのは、今までスカパー!で高橋留美子劇場♯4【鉢の中】を見ていて・・・「こ、怖いぃぃぃ!!嫁姑問題ィィ・・・夫婦って難しい」という思いでいっぱいになったから。出来はどうあれ「ちょっとでも幸せ気分に浸れるSSSを書かないと、夢見が悪くなりそう」と思って書きました。
高橋留美子さんとくれば「うる星やつら」とか「らんま1/2」などが有名ですが、空的に一番好きなのは「人魚シリーズ(「喰らえば不老不死の体を得る。だが・・・その肉が体にあわねば、即死もしくは化け物になり果てる」と伝承される人魚の肉を食い、生き延びてしまった人たちの悲哀の物語です)」なんです。つまりは、・・・・暗くてグロくて少し狂気をはらんでいて・・・でも人間臭い話が好きなんです。
Sirius【SN4:学パロ。白若先生×委員長】
「見て、満月だよ、先生。」
「おお、本当だ・・・これはまた見事」
「でしょ?・・・東京の空じゃないみたい…」
少しばかり根を詰めすぎて遅くなった補習の帰り道。
季節の所為か空気は澄んでいて、空がよく見えた。
散りばめられた星々と、まん丸の月。
「…冷えるな。」
「そりゃもう12月半ばだもん。いくらここだって寒いですよ」
きゅ、と繋いでいた手に力が込められたのは、寒さのせいか。
それとも・・・人目が少ないことから湧き出た彼女の本当の気持ちのせいか。
「・・・先生の手は、あったかいね。」
いつになく可愛いことを言って此方を見る恋人であるフェアの瞳は楽しそうで、嬉しそうで。
可愛くて。
「フェア…」
愛しくて堪らない。
「今夜は鍋でもやりましょうか?」
「たまらぬな。」
「何鍋が良いかなぁ」
「では、ついでに熱燗2本・・・」
「・・・メタボリックシンドロームの進行手助けはしませんよ?1本で我慢して」
「・・・了解」
足取りは遅かった。
二人して空を見ていたから。
余りにも綺麗だったから。
「それにしても・・・そなたのようだな・・・」
「何が?」
「この星空、だよ。委員長・・・ことに最も光り輝く天狼星は、そなたの生き方そのものだ。誇り高く美しい・・・からな。」
「……恥ずかしいセリフ禁止!!もぅ…」
何気なく口にした言葉に抗議され、抗議の主の顔へ視線を送れば、俯く横顔の頬は赤らんでいた。
「委員長」
「…何?」
「口づけ…したいのだが・・・」
「はぁ!?そ、外なのにっ」
「大丈夫、だ。今ならば誰もおらんよ」
「でも…」
ちゅっ。
此方を伺って顔を向けた瞬間に、その柔らかい唇を奪う。
「ふ、不意打ちなんて反則…」
「そなたがあんまり可愛いから」
「可愛くないですっ。セイロンの・・・莫迦っ」
ニイィと人の悪い笑みを浮かべる不埒な教師に悪態をついて、歩く速度を速めるけれど。
フェアのその手は、セイロンの右手を離さなかった。
満天の星と月の下で。
・・・おや?
学パロなのに、若先生が白い・・・???
(すっごい違和感)
ひと仕事終わったあとに、ぬぼーっとした頭で頭上の星空を見上げた時に浮かんだSSSです。
即興なので、非常にみじかくてすみません。
ちなみに天狼星とは、シリウスのことでございます。
「見て、満月だよ、先生。」
「おお、本当だ・・・これはまた見事」
「でしょ?・・・東京の空じゃないみたい…」
少しばかり根を詰めすぎて遅くなった補習の帰り道。
季節の所為か空気は澄んでいて、空がよく見えた。
散りばめられた星々と、まん丸の月。
「…冷えるな。」
「そりゃもう12月半ばだもん。いくらここだって寒いですよ」
きゅ、と繋いでいた手に力が込められたのは、寒さのせいか。
それとも・・・人目が少ないことから湧き出た彼女の本当の気持ちのせいか。
「・・・先生の手は、あったかいね。」
いつになく可愛いことを言って此方を見る恋人であるフェアの瞳は楽しそうで、嬉しそうで。
可愛くて。
「フェア…」
愛しくて堪らない。
「今夜は鍋でもやりましょうか?」
「たまらぬな。」
「何鍋が良いかなぁ」
「では、ついでに熱燗2本・・・」
「・・・メタボリックシンドロームの進行手助けはしませんよ?1本で我慢して」
「・・・了解」
足取りは遅かった。
二人して空を見ていたから。
余りにも綺麗だったから。
「それにしても・・・そなたのようだな・・・」
「何が?」
「この星空、だよ。委員長・・・ことに最も光り輝く天狼星は、そなたの生き方そのものだ。誇り高く美しい・・・からな。」
「……恥ずかしいセリフ禁止!!もぅ…」
何気なく口にした言葉に抗議され、抗議の主の顔へ視線を送れば、俯く横顔の頬は赤らんでいた。
「委員長」
「…何?」
「口づけ…したいのだが・・・」
「はぁ!?そ、外なのにっ」
「大丈夫、だ。今ならば誰もおらんよ」
「でも…」
ちゅっ。
此方を伺って顔を向けた瞬間に、その柔らかい唇を奪う。
「ふ、不意打ちなんて反則…」
「そなたがあんまり可愛いから」
「可愛くないですっ。セイロンの・・・莫迦っ」
ニイィと人の悪い笑みを浮かべる不埒な教師に悪態をついて、歩く速度を速めるけれど。
フェアのその手は、セイロンの右手を離さなかった。
満天の星と月の下で。
・・・おや?
学パロなのに、若先生が白い・・・???
(すっごい違和感)
ひと仕事終わったあとに、ぬぼーっとした頭で頭上の星空を見上げた時に浮かんだSSSです。
即興なので、非常にみじかくてすみません。
ちなみに天狼星とは、シリウスのことでございます。
愛しい姫は、己の腕の中で眠ってしまった。
柔らかい毛布にくるまれて、最初は、世間話をしていた。
他愛無い話をしていた。
・・・が。
日頃の重労働で疲労がたまっていたせいだろうか。
しばらくすると、睡魔が彼女を逃れ難い眠りの森へと誘い出した。
うつらうつらするたびに、はっとしたように眼を見開き・・・
頑張って起きようとしている姿は可愛かったけれど、無理をさせたくはなかったから眠る様に促した。
一定の間隔で刻まれる寝息は、心地好くて。
頬にかかる彼女の寝息は、心地好くて。
起こさないように気をつけながら、触れた白銀の髪はさながら絹糸のようで。
月明かりに照らされた白い肌は、透き通り、穢すことなどできぬほど神聖なものに見えた。
この腕の中に彼女が居る事を、まるで夢の様に感じる。
「……ッ…」
ふと、フェアの眉がひそめられて、細い指が彼女を抱きしめるセイロンの腕を強く掴んだ。
「…ん……」
悪夢でも見ているのか。
覗き込んだ寝顔は、苦しそうで、辛そうで。
どうしたら良いか解らなくて、取り敢えず手を握った。
強く、強く握られる手が切なくて。
頬をそっと撫でた。
それから、額に掛かる髪を除け、小さな頭をそっとそっと、何度も何度も撫でた。
「…ぁ……セ・・・イロ・・・ン…?」
「店主殿…起きたかね?」
「私…」
「大丈夫だ・・・」
「…あ…えっと・・・」
「我は、ここに居る。」
「・・・本当?」
「無論・・・だから安心して眠るがいい。」
「……ぅん…」
腕を掴む指に己の指を絡めて。
軽く触れるだけお口づけを落とすと、フェアは安心した様に微笑って、セイロンの胸に顔を埋め、小さく丸くなった。
誰にも癒すことのできぬ傷を覆い隠すように・・・研ぎ澄まされすぎた魂。
この腕の中で眠るときだけは、安らぎを与えたい。
いつだって彼女の傍に、居るのは、我だから。
そなたが眠りに堕ちるその時は、我が荊となって・・・そなたを悪夢から守るから。
どうか安心して眠ってくれ。
我が愛しの眠り姫。