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大好きで失いたくないんです。

嘘や言い訳だと言われてもしかたありません。

だけど云わせてください。

この気持ちは・・・真実なんです。(意味不明な怪文書ですみません)



たまに感じる焦り・・・自分の指の間から「大事な何か」が零れおちていく喪失感に負けないように。

そんな気持ちで、以下のようなSSSを書いてます。

以下、SN4ロンフェア日常系SS「かけがえのないもの」



それでもって、某所の片目な美麗若さま(札つき)イラストに心を打ち抜かれてきました(午後11時5分現在のお話)

右目だけでよくあそこまで描けるなぁ~。(その根性と業・・・恐れ入りました)

やっぱり絵師だからできる業であります。

ただ・・・お体には気をつけてくださいませ。Sさまー。(私信)

かけがえのないもの





午後のほんわかした空気に身を委ね、フェアは隣りに座るセイロンの肩に凭れた。

「どうしたのだ?」

 シャオメイのお店から借り受けてきたという古本から目を上げて、セイロンがフェアを窺う。

 彼に触れた所から、声が振動になって伝わって心地良い。

 温かな肩に頬を擦り寄せると酷く心が和んだ。

「なんでもないよ・・・」

「・・・・・・そうか」

 柔らかにセイロンが囁く。

 そっと髪を撫でてくれる手も、見つめてくる瞳も穏やかで。

 フェアは幸せだなあ、としみじみ思う。

 セイロンは人の温もりが心地良い物だと言う事を、思い出させてくれた相手だ。

 誰かと同じ時間を共有する楽しみを、こうして他人に寄り掛かる事を。

 大切な人が居るという、しあわせを。

「セイロン・・・・」

「何かね?」

「何でもない・・・」

「・・・おやおや・・・今日の店主殿は、まるで気まぐれな猫のようだな・・・」

「たまには・・・いいでしょ?」

「無論・・・そなたにならば、いくらでも甘えてほしいものだよ。」

 甘えるように呼べば即座に返してくれる。

 その低くて落ち着いた声色が、実は凄く好きだ。

 外見からはちょっと想像できないくらいしっかりしていて暖かい腕を抱き込み、その指に自分のそれを絡める。

 そうすれば彼もぎゅっと握り返してくれるから、ますます嬉しくなってくすくす笑った。



 もっとこうやって彼に触れていたい。

 今が現実なのだと自分に刻みたい。

 セイロンが好きなのだと、こんな他愛もない事で実感する。



 何の変哲もない午後の昼下がり。

 だからこそ、掛け替えのない物だと思う。

 ・・・昔も、子供心ながらにも、あの幸せな時がずっと続くのだと根拠もなく信じていた。

 ・・・それは叶わぬ願いだったけれど。

 けれど今の自分には、否、今の自分達にはこの時を守るだけの力がある。

 朝、寝起きの悪いセイロンを起こして、もしくは起こされて、共に食事を摂って、朝日を浴びて。

 休日の午後には二人で寄り添って・・・たまに喧嘩して、そのたびにどちらかが折れて仲直りして・・・。

 夜、『家』という同じ場所で一日を終える事で、互いが生きている事を確かめる。

 このしあわせがずっと続くように、続けられるように、祈るのではなく戦う。

 ・・・彼を取り巻くすべてのしがらみと。

 ・・・運命という名の強大な敵と。

 力の限り。



 こんな自分にも何かが出来る事が、とても誇りに思える。

 この手は血に汚れているけれど、同じ手で、大好きな人を抱きしめる事も出来るから。

 こんな穢れた掌でも、握り返してくれる人がいるのだから。





「セイロン・・・」

 コトリとセイロンの肩に頭を付けて、フェアは睡魔を受け入れた。

 この温もりの傍でなら、安らかに眠る事が出来る。


 ・・・その幸せを噛みしめながら。



 あたりまえのように、大事な人が傍にいてくれる。

 それは、なによりもかけがえのないこと。
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