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新婚さんいらっしゃい(後編)



完結しました。

最後まで読んでくださった心優しき御方、どうもありがとうございました!

「でかしたぞ!千鳥!」


実のところ、かなめは、宗介が喜ぶかどうか自信がなかった。

だが、普段あまり感情を表さない宗介が、興奮した様子が手に取るように分かるほど感情を出しているのを見た途端、喜んでくれていると実感し、密かに胸をなで下ろした。

そして・・・温かいものがじわじわと胸のおくから込み上げてくるのがわかる。

(ああ・・・やっぱり、こいつと結婚してよかったなぁ)

そう・・・心から思うことができた。


だけれど。

問題はまだ一つ残っている。


ドクターから助言された注意事を夫に言う事を考えると、頭が痛くなる。


「ね・・・ソースケ。この子のためなら、何でもできる?」

「当たり前だ。それが親というものだろう。」

「なら、この子を産むまで、・・・夜は普通に寝て。」

「な・・・。」



真顔で即答してきた宗介に、思い切ってかなめは宣言した途端・・・。

何とも言えない雰囲気が二人を包み込んだ。


「・・・また、たわ・・・」

「戯言じゃないの!先生からそう言われてきたんだってば!妊娠中、特に今の時期は、お腹の子に負担を与えるような事をしちゃだめだってっ。」

「・・・・・」

「だから、その・・・『夜』・・・はなにもしないほうがいいって言われたの。」

(あー・・・何言ってんだろ、あたし・・・)

かなめは自分でいいながら、段々と恥ずかしくなり、顔を赤くして俯いた。

そんな妻を前にして、宗介は、眉をひそめ、難しい顔をして考え込んだ。


「お願いっ、この子を産むまでの10ヶ月間、我慢して。10ヶ月なんてあっという間だよ、きっと。」

「10ヶ月・・・も、君の寝顔を眺めながらも、何もできないと・・・抱けないというのか?」

唸るように宗介は呟いた。


「そうよ。・・・安静が一番この子のためにいいんだから・・・。」

「しかし・・・。」

「・・・どうしても我慢できないなら、その・・・お店とかに行っても構わないから・・・」


本当はそんなところに行ってほしくはないが、仕方がない。

かなめは、「嫌だ」と言いそうになるのを、きゅっと唇を引き締めて耐えた。


「君は・・・本当にそう思っているのか?」

「・・・本気でそう奥さんがどこにいると思うの・・・?」

仕方ないでしょうという目で夫を睨んだかなめは、夫の表情を見て驚いた。


僅かに潤んだ目線の先には、満面の笑みを魅せる宗介がそこにいた。


高校時代からの長いつきあいだが、実は宗介の笑顔をほとんど見たことがない。

かなめは、その笑顔に見惚れると同時に・・・得体のしれない嫌な予感を覚えた。


「では、君も俺に抱かれたいのが本音だと受け止めてもいいんだな?」

「えっ・・・そ、それは・・・・そう・・・だけど・・・」



ごにょごにょ口籠もるかなめを楽しげに眺めていた宗介は、抱きしめていた腕の力を強めた。


「俺も君以外の女を抱くつもりはない・・・」



そうかなめの耳元で囁くと、耳を甘噛みした。


「あっ・・・・・・ソ、ソースケ!あたしの話を聞いてなかったの・・・っっっ!!」



焦ったように抵抗するかなめを難なく抑えて、片方の手は胸元に、もう片方の手は太腿の付け根に伸ばされる。


「要するに、腹の子に負担をかけなければ、良いのだろう?なら、問題ない。」

「はぁ!?」

「その問題を解決した上で、君が俺を満足させてくれる方法は二つある。」

「なに言って・・・ひゃぁっ!!」



かなめの弱い箇所を的確に愛撫して、かなめの力を奪いながら宗介は囁く。


「えっ・・・・」

「1つはここだ。」


宗介は、胸の愛撫を止め、うっすら開いたままのかなめの桜色の唇をなぞった。

夫の愛撫で意識を手放しかけていたかなめは、彼の言っている意味が分からず、夫の優しい笑顔に魅入られながら、投げかけられた言葉を頭の中で繰り返していた。

(ここって・・・え・・・ぇぇぇぇぇ!!?)



そして、その意味をやっと理解したかなめは、飛びかけた意識を取り戻し、目を見開いた。


「ソースケ・・・ちょっと・・・待っ・・・!!」

「だが、この方法では、俺は満足できない。何故なら・・・」



かなめの抗議の声もなんのその、宗介はそう言うと、知り尽くした彼女の一番敏感な部分を指の腹で弄ぶ。


「ぁっ・・・やぁっ・・・駄目っ・・・」

思わずかなめの口から甘い鳴き声が漏れ、夫が着ているシャツをきゅっと掴んだ。


「その甘い声を聞かせてもらうことができないからな。」

「そ・・・ソースケっ・・・」

「だから、千鳥・・・俺は、もう1つの方法で満足させてもらうぞ。」


宗介は、先ほどまで激しく責めていた指をそこから抜き、そこよりも少し下の方へ指先を滑らせた。



「!!??」



指が当たる感触の位置に気付いたかなめは思わず、腰を浮かせて青ざめた。

・・・先ほどの嫌な予感は・・・もしかして・・・


「・・・・・!?ま、まさか、ソースケ、ここに・・・・・・!?」

「あぁ。そのつもりだ。」

「無理っ!・・・冗談・・・っ」

「では、今夜、試してみよう。」


ひょい。



宗介はかなめを軽々しくお姫様抱っこし、奥の寝室へと歩いていく。


「無理だから!絶対に無理っ!というか・・・そんな恥ずかしいところ見られたら・・・お嫁にいけない!!」

「案ずるな・・・もう君は俺と結婚している。・・・恥ずかしくなどないぞ?」

「やかましい!!莫迦、ソースケっ・・・降ろしてっ・・・放してってばぁ!!」



沸騰寸前のやかんのごとく顔を赤面させたかなめは、至極冷静な宗介に担がれながら、必死に抵抗する。


「暴れるな、千鳥。落ちたらどうする・・・腹の子に障るぞ?」

「・・・!!」


宗介に諭されて、かなめは暴れるのを止めた。

しかし、このまま夫のされるがままになるわけにはいかない。


「ソースケ、お願いだから・・・ね・・・?」

「却下。」

「即答!?」

「・・・俺に10ヶ月間、君に触れるのを我慢しろという方が無理だ。・・・君以外の女を抱くことなど、論外の話に決まっているだろう。」

夫は壊れ物のを扱うかのようにそっと妻を布団の上に乗せ、その上に跨る。


「俺も本来の君の中に挿れたいのを我慢しよう。だから、君も耐えてくれ。」

「・・・。」

「なに、10ヶ月の間のことだ。あっという間の話だろう?」

「ま、真似しないでよ!」

「この方法なら、俺も君を思う存分抱ける。そして、腹の子に負担はないはずだ。」

「あ、あたしが無理なんだってば!!!」

「うむ・・・君の体に負担をかけるのも良くないか・・・では、百歩譲って・・・一晩の回数を1回だけにしよう。その代わり、君の甘い声を堪能させてもらうがな。」

「何その譲歩の仕方!!か、勝手に決めないでよ!」

「母たるもの・・・覚悟は必要だぞ?千鳥」

(そんな覚悟なんかいるかー!!)


あーもう~~~話を聞いてくれない~!!!どうしよう・・・・!



どうにかして、この唐変朴を言いくるめる術はなか?

そうこう考えているかなめの項に、宗介は、唇をつけ吸い上げてきた。


「っっっ!!」

「『戯言』はここまでだ」

「ソース・・・ケ・・・」

「やっとの思いで手に入れたんだ・・・君を・・・。何の障害もなく君と普通に暮らせる日々を・・・。」

「・・・」

「もう・・・君に触れられない日が続くなんて考えられない・・・。」

「・・・ん・・・。」

「・・・愛してる・・・千鳥・・・。」

史上最凶最強の殺し文句を囁きながら、柔らかく抱きしめてくる夫に、妻の抵抗はもはや何の意味もなさないものと成り果てた。








「千鳥・・・朝食は作っておいたぞ?」

「・・・ん・・・」

「昨晩は思っていたより良かったな。千鳥、君はどうなんだ?」

「・・・・・・・・」



翌朝、非常に「爽快」な顔つきで家を出る支度をしていた宗介は、ベッドの中で丸くなっているかなめに訊ねた。

・・・が、当然の如く、その問いについての返事はかえってこない。

気が強くて、「腰が痛い」と素直に云えない彼女なりの精一杯の抗議のつもりらしい。

そう考えると、別段腹も立たなかったが・・・やはり、出かける間際に愛する人の声が聞けないのは寂しい。

だから・・・彼は、ある行動に出た。

ベッドの小脇に立ち、毛布を頭から被っているかなめに顔を近づけて、そっと囁く。



「君も喜んでいたと思うのだが・・・違うのか?」

「・・・・なっ!!!!知らない!」

「そうか・・・?終いにはあんなに乱れて強請っ・・・」

「ば、莫迦・・・!!そんなわけないでしょ!?」



予想通り、がばりと毛布が捲れあがり、中から愛しい妻の真っ赤に染まった表情が飛び出してくる。

勢いよく胸倉を掴んでくるかなめの背中に腕を回す。

そうして、似合わないぐらい爽やかな微笑みを彼女に向けた。



「おはよう・・・千鳥。」

「うっ」



その笑顔を前に、挑発に乗ってしまった己の失態にかなめが気づいても・・・時既に遅し。

完全に背中に腕を回されて、閉じ込められた形になっていた。



「心配していたが・・・元気そうでなによりだ・・・。」

「莫迦・・・。早く・・・会社に行きなよ・・・遅刻しちゃうから・・・」

「了解した。」



目元を僅かに染めて、ばつが悪そうに呟くかなめの様子に満足したのか、宗介は嬉しそうな声で返事をして・・・

挨拶とでもいうようにかなめの唇に触れるだけのキスを落とした。


「では、行ってくる。」

「気をつけなさいよー?」

「善処する・・・10ヶ月と言わず、子供が産まれた後もしたいものだな、千鳥?」

「はよ仕事にいかんかい!色ボケ男が!!!」



なんとなく確信犯的笑いを含んだセリフを残し、足早に立ち去る宗介の背中にかなめの怒号がつきささった。




子供ができたことで、せっかく悩みが解決できると思ったのに・・・・・・。

解決するどころか、悩みが余計に増えたような気がする・・・・・・・・。

ベッドの中で、重い腰を擦りながらかなめは、溜め息をついた。


大事な人に愛されているのは嬉しいけれど。

どこまでもまっすぐな夫の激しい愛情表現に困ってます・・・。


世界最強の特殊部隊の元隊員と結婚してしまった新妻の困惑と幸福入り混じりの日々は、きっとこの先も続く・・・。






あとがきっぽいもの。



さて、一応完結しました、ねつ造未来新婚話。(あくまでねつ造です。原作は、まだ続いております。非常にハードにシリアスに(泣))

はっきりいって、「宗介軍曹を幸せにしてあげたい!!」っていう思いだけでこのお話書かせていただきました。

ネタバレになりますが、それくらい・・・原作上の宗介軍曹とかなめさんの環境は、厳しいところにあります。

宗介軍曹可哀想すぎるんですもの・・・還る場所をことごとく奪われて、肝臓の1部を切り取らなくっちゃいけないくらいの重傷を負わされるわ、大事なあの人は最強の敵になっちゃうわ・・・せっかく逢えそうだったかけがえのない人であるかなめさんとは、逢えず仕舞いだわ・・・(号泣・・・だけど、無線の会話のラブぶりには、心底びっくりさせられました。嬉しすぎて、「ホワチャアァ!!(作品違うから)」と叫びながら、文庫本天井に放り投げそうになりましたv)

だから、お話の最後あたりの軍曹の世界最凶最強殺し文句は、絶対云わせたかったんです。

苦労に苦労を重ねた人、それでも負けない人が空は大好きですから・・・そういう人には、絶対に幸せになってほしいから・・・そんな願いをこめて書かせていただきました。(本当にもう・・・ただの願望ですね)

原作がこの先どんな展開になるかわかりませんが・・・最後まで見守っていきたいです。

この愛すべき2人を。

 

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